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鯨偶蹄目ウシ科

 反芻する哺乳類、ウシ科

鯨偶蹄目ウシ科の動物は、ヒヅメのある偶数本の指を持つ植物食動物のうち、反芻(吐き戻してクチャクチャ)を行い、枝分かれせず生え変わらないツノを持つ動物です。 ウシ科の動物は、陸にすむ偶蹄目の仲間(偶蹄類)の中では大勢力で、ウシ、ヤギ、ヒツジ、カモシカ、アンテロープの仲間、ガゼルの仲間がウシ科です。 この仲間には、上あごに前歯が無く、平らな板状になっています。地面から生えている草をむしり易いように、上あごを「まな板」、下あごの前歯を「包丁」にして、草をちょん切っているのです。

 ウシのクチャクチャ、反芻の秘密

ウシ科の動物は、よく口をクチャクチャさせています。しばらく口が止まったと思ったら、またクチャクチャ。ウシ科の動物は、反芻(はんすう)と呼ばれる、植物を効率よく消化するシステムを持っていて、反芻するために胃が4つあり、一度飲み込んだ植物を反芻胃(はんすうい)と呼ばれる胃に溜めておいて、吐き戻して噛みなおし、次に消化用の胃に送り込んで消化します。
食べた植物から最大限に栄養分を吸収することができる、とってもすばらしい消化システムです。

 ウシ科のツノ

陸にすむ鯨偶蹄目の動物には、ウシ科にかぎらず、ツノを持つ動物がたくさんいます。
同じ「ツノ」でも、構造が異なっていて、ウシ科のツノは「ホーン」と呼ばれます。
「ホーン」は、骨の芯にケラチン質のサヤを被ったツノで、枝分かれはせず、一生、抜け落ちません。
シカ科のツノは、「アントラー」と呼ばれ、骨の芯にケラチン質のサヤがかぶったツノで、枝分かれし、一年に一度抜け落ちて、また生えてきます。
キリン科のツノは、「オッシコーン」と呼ばれるツノで、骨の芯に皮の袋がかぶっています。枝分かれせず、一生抜け落ちません。

 鯨偶蹄目の祖先

鯨偶蹄目のもっとも原始的な動物は、ディコブネ科「ディアコデキシス」で、現生のマメジカ科によく似た小さな植物直動物で、森林で木の葉を食べていたと考えられています。 ディアコデキシスが現われた始新世前期(5500万年前)は、世界全体が暖かく熱帯雨林に覆われており、さまざまな植物食動物が適応放散を始めた頃です。 大型植物食動物としてのニッチは、古いタイプの、すでに絶滅した植物食動物グループ(汎歯目、紐歯目、裂歯目、恐角目)が占めており、ウマ目(奇蹄目)が適応放散を始めていました。鯨偶蹄目の動物は新参者で、少数派でした。
ディアコデキシス 鯨偶蹄目ディコブネ科ディアコデキシス
学名:Diacodexis
体長:30cm
時代:5500万年前(始新世前期)
分布:北アメリカ、ヨーロッパ、アジア
学名の意味は、「召し使いの噛みつき」
原始的な鯨偶蹄目の動物で、大きさはウサギくらいしかありません。現生のマメジカ科に似た姿でしたが、尻尾がとても長いです。ヒヅメのある指は前肢、後肢とも5本で、第三指(中指)と第四指(薬指)が他の指よりも長くなっています。

 ウシ科の進化

ウシ科の動物の最古の化石は、3300万年前(漸新世)から見つかっており、他の反芻する偶蹄類の中では遅く現れた新しいグループです。
2300万年前~530万年前(中新世)に、森林が広がるとともに、アジア、アフリカ、ヨーロッパに進出。
530万年前(鮮新世)以降、寒冷化と乾燥化が進んで草原が広がると、草食いに適応した仲間が現れ、さらに適応放散を始めています。ウシ科の動物は、反芻という、少ない植物から栄養をめいっぱい吸収するシステムを持っていたため、サバンナやツンドラ地帯など、植物の乏しい場所でも、大きな群れを維持することができ、大繁栄につながったのでしょう。
250万年前(更新世)には北アメリカにも進出しましたが、陸続きだった南アメリカに進出した種類はなく、ウシ科の入り込むニッチが他の動物によって埋まっていたのか、進出したものの絶滅したのかもしれません。(シカ科の仲間は進出しているのだが)。


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