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鯨偶蹄目ラクダ科

 乾燥地帯のスペシャリスト、ラクダ科

アルパカ 鯨偶蹄目ラクダ科の動物は、1科3属6種。
砂漠や高山の乾燥地帯にすむ植物食動物で、粗食や枯渇に耐えるしくみをもった乾燥地帯のスペシャリストです。ラクダ科は、鯨偶蹄目のなかでは、角を持たないグループで、また、反芻(はんすう:吐き戻してモグモグ)はできますが、胃はそれほど複雑には分かれていないという中途半端な反芻をするグループです。大きく2グループ(アフリカ~アジアにすむ仲間、南アメリカにすむ仲間)に分けられます。 アフリカ~アジアには、フタコブラクダとヒトコブラクダ。南アメリカにはビクーニャとグアナコがすんでいます。

ラクダ目の生息域 ラマ(リャマ)はグアナコの家畜種、アルパカはビクーニャの家畜種とされています。
砂漠にすむフタコブラクダ、ヒトコブラクダには背中にコブがありますが、高山にすむアルパカ、リャマ、ビクーニャ、グアナコにはコブはありません。


 背中のコブの秘密

ラクダのコブは脂肪のカタマリです。なぜ、背中に脂肪を蓄えているか?。
全身に脂肪があると暑いから、背中に固めて蓄えてあるのです。
粗食と乾燥に耐えられるのは、背中にタップリと蓄えた脂肪のコブのおかげです。
本当にヤセコケたラクダはコブがペッタンコです。


 歩く貯水タンク、ラクダ

ラクダは一度に90リットルもの水を飲むことができます。
哺乳類は、飲んだ水は胃袋に溜まり、お腹がいっぱいで飲めなくなりますが、
ラクダはおなかがいっぱいでも水が飲めます。
飲んだ水分を速やかに体中の細胞に回すことができるしくみを持っており、全身が貯水タンクになっているのです。
貯水タンクと関係があるのか分かりませんが、ラクダの赤血球は円形ではなく、楕円形です。


 鼻の下が長いワケ

アルパカ ラクダ科の仲間の鼻の下は長~く延びていて、くちびるまでつながる縦線があります。このカワイイ線は、鼻息から出た水蒸気を、口に戻して飲むためのミゾなのです。
ラクダをよ~く見ると、下あごが少し受け口になっていて、よく下あごで上あごについた水蒸気をぬぐっています。 ここまでしなければ、乾燥地では生きていくことができないのです。キビシイ!!。


 ラクダの長い足のヒミツ

フタコブラクダラクダの足は、とっても長く見えます。さて、なぜでしょう?。

他の四速歩行の哺乳類にはある、胴と足をつなぐ膜がラクダには無いのです。
膜があるとそこに熱がこもって暑いから!!。

猫。矢印が胴と足をつなぐ膜。ラクダには無いのだヨ。


 ラクダ科の進化

ラクダの仲間は、近年の遺伝子調査の結果、鯨偶蹄目全体のなかでは、もっとも最初に枝分かれしたグループであることが分かりました。
ラクダ類の次に現れたのが猪豚類(イノシシの仲間、反芻しないグループ)で、猪豚類類が反芻をやめて進化したとは考えにくいので、ラクダ類は進化の途中のどこかで、中途半端な反芻を獲得したことになります。
ラクダ科の仲間の最古の化石は、4000万年前(始新世中期)ごろの北アメリカから見つかった「ポエブロドン」で、柴犬くらいの小さな動物でした。
3300万年前(漸新世初期)から乾燥化が進むと大型化し足や首が長い種類が現れます。
2300万年前~530万年前(中新世)にかけて北アメリカに広がった草原を中心に繁栄し、草食いに適応した、すり減りにくい歯を持ったウマヅラのラクダらしい顔の種類が現れました。
中新世後期にはアジア、ヨーロッパ、アフリカにも進出し、250万年前(鮮新世後期)に南北アメリカが陸続きになると、現生のラマやビクーニャの祖先が南アメリカへ進出しました。
現在のラクダ科の仲間は、南西アジアとモンゴル、南アメリカの高山地帯にしかいないので、進出した多くの地域で滅んでしまったことになります。他の植物食動物が進出できなかった乾燥地帯に適応した種類だけが生き残ったのでしょう。

ポエブロテリウム 鯨偶蹄目ラクダ科ポエブロテリウム
学名:Poebrotherium
時代:始新世後期~漸新世前期(4000万年前~3300万年前)
分布:北アメリカ
体長:1m
ごく初期のラクダ科の動物で、草原化の進む北アメリカで繁栄していました。ヤギくらいの大きさで、足も首も長くなり、早く走れるように進化しています。現生のラクダは上あごの前歯がありませんが、ポエブロテリウムには上あごの前歯がまだ残っています。


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