食肉目アザラシ科、アシカ科、セイウチ科
鰭脚類とは
鰭脚類(ききゃくるい)とは、食肉目のうち、手足がヒレ状に変化して水中で活動できるように進化したグループ、アザラシ科、アシカ科、セイウチ科の総称です。クジラ類のように完全な水中生活には適応しておらず、子育てや出産時には陸上または氷上に上がります。
鰭脚類、アザラシ科、アシカ科、セイウチ科の生息域です。
アザラシ科の仲間の多くは極地を中心にすんでいますが、暖かい地域にすむ仲間もいます。
セイウチ科の仲間は北半球のみにすんでいます。
アシカ科の仲間は北半球にも南半球にも生息していますが、極地にはすんでいません。
鰭脚類のなかでただ一種、淡水域にすむのが、アザラシ科のバイカルアザラシです。
アシカとアザラシとセイウチの違い、見わけられるかな?
アシカ科の特長
アシカの仲間(7属16種)には、オットセイ、トド、オタリアなどが含まれます。
アシカの仲間の特徴は以下です。
・外耳(がいじ:耳たぶ)があります。
・水中では前足を使って羽ばたくように泳ぎます。
・陸上では前足で体を起し、前に向けた後ろ足を使って歩くことができます。
カリフォルニアアシカ
カリフォルニアアシカ
分類:食肉目 アシカ科
学名:Zalophus californianus(ザロフス・カリフォルニアヌス)
英名:California sea lion(カリフォルニア シー ライオン)
体長:2~2.4m
カリフォルニアアシカは、北太平洋沿岸に群れを作ってすんでいます。
水族館で見るアシカのほとんどが、カリフォルニアアシカです。
かつて日本にいたニホンアシカ(絶滅)は、カリフォルニアアシカの亜種ではないかと言われています。
アザラシ科の特長
アザラシの仲間(10属19種)は、鰭脚類の中では、もっとも繁栄しているグループです。
アザラシの仲間の特徴は以下です。
・アシカのような外耳はありません(目の後ろに穴があるだけ)。
・泳ぐ時は後ろ足を左右に振って泳ぎます。(前足は方向転換や推進力をつける時に使う補助)。
・陸上では前足で体を支えることができないので、お腹でズリズリ這って移動します。
・ズリズリ這う時に体を支えるため、前足にも後ろ足にもツメがあります。
ゴマフアザラシ
ゴマフアザラシ
分類:食肉目 アザラシ科
学名:Phoca largha(フォカ・ラーグハ)
英名:Spotted seal(スポッテッド シール)
体長:1.6~1.7m
ゴマフアザラシは、オホーツク海、ベーリング海、日本海、黄海にすみ、魚、イカ、タコなどを食べます。
アザラシの仲間は、子育てする場所でコドモの色が違います。
ゴマフアザラシは、氷の上で子育てするのでコドモは真っ白です。
生まれて2週間ほどで灰色に生え変り、成長すると、背中がゴマをふったような模様になります。
セイウチ科の特長
セイウチの仲間(1属1種3亜種)は、アザラシよりはアシカに近い仲間で、アシカとアザラシ両方の特長を持っています。
・アザラシと同じで、外耳はありません。(目の後ろに穴がある)。
・泳ぎ方はアザラシと同じで、後ろ足を左右に振って泳ぎます。
・アシカほど上手ではありませんが、陸上では前足で体を起して、後ろ足を使って歩くことができます。
セイウチ
セイウチ
分類:食肉目 セイウチ科
学名:Odobenus rosmarus(オドベヌス・ロスマルス)
英名:walrus(ウォールラス)
体長:3.2~4m(メスの方が一回り小さい)
セイウチは、北極海の沿岸部と周辺にすんでいます。
1頭のオスがハーレムを作る一夫多妻制です。
オスにもメスにも立派な牙があり、牙は闘争に使ったり、氷に穴を開けたり、体を支えるつっかえ棒にしたりします。
大きな牙で獲物をしとめるように見えますが、基本的にエサは海底の貝や小さな生物で、口に含んだ海水を吐き出してエサを掘り出します。
バイカルアザラシ
バイカルアザラシ
分類:食肉目 アザラシ科
学名:Phoca sibirica(フォカ・シベリカ)
英名:Baikal seal(バイカル シール)
体長:1.3~1.4m
バイカルアザラシは、鰭脚類で唯一、淡水域にすむアザラシで、バイカル湖と周辺の河川にすんでいます。
バイカル湖はもともと海とつながった湾で、バイカルアザラシも海にすむアザラシでした。
3000万年前の氷河期、海水面が下がり湾の入り口がふさがれたことで徐々に淡水湖となり、
バイカルアザラシのほか多くの海生生物が閉じ込められて、淡水に適応できるよう進化した考えられています。
バイカルアザラシは、透明度の高いバイカル湖でエサを探すために眼球が非常に大きく、超寄り目です。