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鯨偶蹄目(くじらぐうていもく)

偶蹄目は、ヒヅメのある偶数本の指を持ち、重心が中指と薬指の間を通る草食動物のグループです。
ラクダ科、イノシシ科、ペッカリー科、キリン科、ウシ科、プロングホーン科、シカ科、ジャコウジカ科、マメジカ科、カバ科の10科が偶蹄目の仲間です。

ラクダ科

イノシシ科

ペッカリー科

キリン科

ウシ科

シカ科

カバ科

ジャコウジカ科、マメジカ科、プロングホーン科

クジラ類

 鯨偶蹄目の進化

現生の偶蹄目の系統

遺伝子の解析と、化石の研究により、クジラ類はカバ科と近縁であることが分かり、偶蹄目にクジラ類も含めて「鯨偶蹄目(くじらぐうていもく)」というグループ名になりました。
遺伝子の解析によって、全ての偶蹄類の共通の祖先から最初に分かれたのがラクダの仲間、 次いで、イノシシの仲間。一番最後に分かれたのが、クジラの仲間ということになります。 ●偶蹄目の仲間は、初期の仲間は5本指でしたが、やがて第一指(親指)が退化し、偶数本の指を持つようになりました。5本指の仲間も偶数本の仲間も、全て、第三指(中指)と第四指(薬指)の間に重心があります。(奇蹄目(ウマ目)の重心は第三指。)
●偶蹄目の仲間は、植物を消化するためのシステムを高度に進化させており、反芻(はんすう:吐き戻してモグモグ)して、役割分担した複数の胃で段階的に消化することで、栄養価のとぼしい草からめいっぱい栄養をしほり取ることができます。 イノシシ科、ペッカリー科、カバ科は、反芻せず、分かれた胃も持っていないグループです。 マメジカ科、ジャコウジカ科、シカ科、キリン科、プロングホーン科、ウシ科が、高度に発達した消化システム(反芻し、分かれた胃で消化する)を持つグループです。
ラクダ科の仲間はちょうどその中間にあたり、反芻し、分かれた胃も持っていますが胃の役割分担はウシやシカほど複雑ではありません。
●偶蹄目の仲間は、後ろ足の、距骨(きょこつ)という足首の骨が、他の哺乳類グループとは異なる形をしており、足首が柔軟に曲がるようになっています。この偶蹄目オリジナルの距骨のスタイルが、陸を歩いていた大昔のクジラ類のご先祖様にもあったことが分かり、クジラ類は偶蹄目の仲間であることが分かりました。
距骨は、ヒトの足でいうと、「かかと」と「くるぶし」の間くらいにある骨で、 この骨にある関節面が、偶蹄目の仲間は全て、滑車の形をしているのです。


 鯨偶蹄目の祖先

偶蹄目のもっとも原始的な仲間は、ディコブネ科ディアコデキシスで、
現生のマメジカによく似た姿をしており、木の葉を食べていたと考えられています。 ディアコデキシスが現われた始新世前期(5500万年前)は、世界全体が暖かく熱帯雨林に覆われており、さまざまな草食動物が適応放散を始めた頃です。 大型草食動物は現在は滅んだ草食動物のグループ(汎歯目、紐歯目、裂歯目、恐角目)が占めており、奇蹄目(ウマ目)がすでに適応放散を始めていました。偶蹄目の仲間は新参者であり少数派でした。


ディアコデキシス

ディアコデキシス
偶蹄目ディコブネ科ディアコデキシス
学名:Diacodexis sp.(ディアコデキシス)
体長:30cm
時代:5500万年前(始新世前期)
分布:北アメリカ、ヨーロッパ、アジア
学名の意味は、「召し使いの噛みつき」
原始的な偶蹄目の仲間で、大きさはウサギくらいしかありません。現在のマメジカに似た姿でしたが、尻尾がとても長いです。ヒヅメのある指は前肢後肢とも5本で、第三指(中指)と第四指(薬指)が他の指よりも長くなっています。


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